1978年から毎年放送されている24時間テレビ、「福祉」「環境」「災害復興」など国内外のチャリティー活動を通じて各種支援を全国的に展開してきました。
しかし、その24時間テレビで寄付金が着服されていたことが判明しました。
鳥取県、山陰地方を放送エリアとする日本テレビ系列の日本海テレビジョン放送株式会社(以下、「日本海テレビ」といいます。)は昨年11月28日、元経営戦略局長の男性が24時間テレビの寄付金及び会社の売上金などを着服したとして、懲戒処分にしたことを公表しました。
ここでは、今回の24時間テレビ寄付金着服について経緯、その使い道などを調査しました。
24時間テレビ寄付金着服が発覚した経緯
発覚した経緯としては、自己申告があったとのことです。
冒頭の元局長は昨年11月初め、税務調査により資金の着服が発覚することを恐れ、会社に自ら申告し、その後の社内調査によって寄付金にも手をつけていたことが発覚したのです。 きっかけは税務調査が入ったことでした。税務調査については下記の記事を参考にしてみてください。
税務調査とは、国税局や税務署などが納税者の申告内容について帳簿などを確認し、誤りがあった場合は是正を求めるという一連の調査手続きです。(省略)単純計算では、およそ30年に1回となります。
引用元:完全会社ガイド 税務調査が10年以上来ない会社と来る会社の違い|確率や頻度も解説
もし税務調査が来なかったら、不正は明らかにできなかったかもしれません。そう思うと、他は大丈夫なのかと思ってしまいます。
自己申告とはいえ寄付金などを着服してしまったこと自体は取り返しがつかず、会社だけでなく24時間テレビまで悪い印象を受けてしまいました。
また、この着服事案により、日本海テレビ代表取締役会長は辞任、同社長は報酬返上となりました。
着服された金額は総額いくら?
下記記事のとおり、24時間テレビで集まった寄付金約264万円を着服したとのことです。
詳しくは、日本海テレビのプレスリリースをご参照いただくか、下記をご確認ください。
年 | 着服金額 |
2014年 | 50万2,400円 |
2015年 | 32万9,000円 |
2016年 | 34万8,800円 |
2017年 | 45万円 |
2018年 | 30万円 |
2019年 | 29万9,000円 |
2020年 | 23万4,100円 |
2023年 | 18万2,720円 |
【着服の手口】(一部省略)・24時間テレビでの募金で集まった寄付金については、募金終了後、金融機関へ運ぶまでの間に本社内で保管していた紙幣などの一部を周囲の目を盗み持ち出し、自分の口座に入金(2014年〜2020年、2023年)。一番多い年には50万円以上を不当に持ち去っていた。
引用元:企業法務ナビ 日本海テレビ社員、「24時間テレビ」の募金264万円を着服で懲戒解雇
ということで、8年間に渡り着服していたのです。寄付金は番組や街頭に設置された多くの方から、ボランティアスタッフも関わって集められたものになります。その大切な思いをどうすべきか考えていたのでしょうか。
また、このような事案が起きないようなガバナンス管理も社会では求められており、その管理体制が疑われる事態となりました。
着服金は何に使われたのか?
上記のとおり各記事にも記載がありますが、着服金は、初犯となった2014年当時、親族のためにお金が必要だったと話しているということです。
その一方、元局長は、同僚らとの飲み歩きや、スロットに興じていたということで、着服したお金の一部はギャンブルなどにも使ったと日本海テレビではコメントしています。
また、元局長は、懲戒解雇後の11月28日までに着服した全額を返還し、その後寄付金の約264万円は24時間テレビチャリティー委員会に届けられたことを、日本海テレビはコメントしています。
「2014年当時、親族のためにまとまった金を用立てる必要があった。着服しても発覚しにくいお金があり、思いついた」と話しているという。同社は飲食やパチンコなどの遊興費にも使ったとみている。
引用元:朝日新聞デジタル「24時間テレビ」寄付金など着服 日本海テレビ、幹部を懲戒解雇
先ほども言いましたが、着服した全額を返還したとしても寄付金などを着服してしまったこと自体は取り返しがつかず、会社だけでなく24時間テレビまで悪い印象を受けてしまいました。
今後24時間テレビは放送する?
今のところ24時間テレビが無くなることは発表されておらず、おそらくは今年も放送されるのではと思われます。
先日2月1日、日本テレビ放送網株式会社、24時間テレビチャリティー委員会、日本海テレビは、今後の募⾦活動について再発防止策を公表しました。
再発防止の対策は主に以下5点です
- 募金活動における新たな規約の策定
- 専門業者への委託
- 募金活動のモニタリング調査
- 24時間テレビ不正通報窓口の開設
つまり、24時間テレビとして募金活動・番組の放送は続けられるのでしょう。
しかし、今回の報道を受けて、SNSやネットニュースを通じて、「24時間テレビはまだやるのか。」という声も出てきました。
特に、近年のパーソナリティーの出演料やマラソン、バライティ化など、このところ似たような演出内容ばかりで番組自体が相応しくないとの意見もあり、偽善番組と言われることも。
30年前位までのマラソンが始まる前まではドキュメンタリー特集で身に詰まるような内容が放映されていたのを記憶しています。感動とは何か、いかにチャリティーに目を向けさせるかを改めて考えて番組制作していくべきではないでしょうか。
今回の不正事案は、これまで長年にわたって、番組を信頼していた人こそ、「裏切られた」と嫌悪感を示すはずなのが問題だ。心の奥底から「愛は地球を救う」と思っていた人たちを落胆させないよう、時代にあわせた形へのアップデートする、よきタイミングなのかもしれない。
引用元: 東洋経済オンライン 24時間テレビ「募金着服」よりマズい最大の問題
まとめ
今回は、24時間テレビの寄付金着服事案と今後について取り上げてみました。
- 寄付金着服が発覚したのは日本海テレビジョン放送株式会社
- 寄付金着服が発覚した原因は内部告発
- 着服金の総額は264万円
寄付金の管理は強化されるので、再び起こることがないよう期待するしかありません。
しかし、45年間経ってもチャリティー活動は終わりません。また、新たな支援が必要になることもあります。
24時間テレビで支援が必要なことにスポットを当てて、助け合う、より良い社会、世界を作っていけるよう考える機会です。そのため、これからも24時間テレビは必要と考えます。
メインパーソナリティー・チャリティーパーソナリティーなども、著名な方がチャリティー活動を行っていただくことは何ら問題ありません。
著名な方が担うことによって、幅広い世代からチャリティー活動に目を向けられます。これからも活躍いただきたいですね。
引き続き、幅広い世代にチャリティー活動を呼びかける必要がありますし、その演出も重要ですが、新たな内容を観たい気がするのは、皆さまも同じかもしれません。
今回の件を機に、新たな24時間テレビが放送されるよう期待したいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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